これからも淡々とやってくだけ
辰巳の朝は、どこか独特の緊張感がある。湾岸特有の乾いた空気の中、PCP辰巳店には静かな熱気が漂っていた。鏡張りのトレーニングスペースに朝の光が差し込み、器具の金属音が小さく響く。その中央で、吉田輝幸は淡々とセッションの準備を進めていた。
元EXILEの専属フィジカルトレーナーとして知られ、多くのアスリートや経営者から支持を集める存在。だが、初対面の印象は驚くほど穏やかだ。威圧感もなければ、自ら実績を語り立てることもない。
「これからも淡々とやってくだけですよ」
取材の冒頭、吉田はそう言って笑った。
何気ない言葉だった。しかし、話を聞き進めるほどに、その「淡々と」という言葉の意味が変わっていく。怪我、挫折、独立、極限の生活、そして裏方として生きる覚悟。華やかなキャリアの裏には、表に出ることの少ない長い時間が積み重なっていた。
吉田の人生は、スポットライトの中心ではなく、その少し後ろ側で続いてきた。















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